直感のある人とない人と、直感とのつきあい方は人それぞれですが、スポーツやビジネスの分野でも成功者には直感力のある人が多いと言われています。直感はいろんなところで働きます。
「そっちには進まないほうがいい」、「この人物には近寄らないほうがいい」といった危険予知的なものから、「これは自分にとってとても大切なことに違いない」といったひらめきまで多岐にわたります。そして、多くの直感力を持つ人々は、「直感はだいたい正しい」と信頼を置いています。
しかし、そもそも直感力とはどんなことなのでしょうか。直感力のある人とない人の違いは?直感を感じただけで終わる人と、成功にまでつなげる人の違いとは?直感力を味方につける方法を見てみましょう。
そもそも直感とは何か
直感ときいて思い浮かぶことは様々ありますが、一般的にどのような意味として使われているのか、goo国語辞書から引用してみます。
直感:推理・考察などによるのでなく、感覚によって物事をとらえること。
また、類語には「予感」「第六感」、関連語には「虫の知らせ」が挙げられています。
「推理・考察などによるのでなく」という辞書的定義からも分かるように、直感を担当し、直感力に関わるのは、脳の中でも右脳であることがわかります。
周知のとおり、人間の脳のうち「左脳」は「読み、書き、話す、計算」などの言語を司り、論理脳と呼ばれます。それに対して「右脳」は「ひらめき、図形や映像の認識、イメージの記憶」などを司り、イメージ脳、感覚脳、芸術脳などと呼ばれます。
論理トレーニングもですが、このイメージ力を鍛えるトレーニングもビジネスの世界でも人気の分野であることからも、このひらめき、イメージ力などのクリエイティブな力を持つ人ことが重宝されていると言えます。
なぜ直感力は鍛える必要があるのか
直感の類語にある「第六感」や「虫の知らせ」といった言葉は、一昔前ならよく聞いていましたが、最近は論理的思考に押されてか、めったに聞かない言葉となりました。
おそらく、現代のような科学的情報が溢れた時代以前の世界では、この右脳的な感覚は今よりもずっと研ぎ澄まされ、判断を下すための材料として当たり前に使われていたのではないでしょうか。他にも探してみると、「鼻が利く」、「腑に落ちない」のように、頭ではなく、体のいろんな部分の感覚を使って考えたり判断を下していたことが想像できます。
天気予報やスポーツ、コンビニやファーストフードの在庫管理に至るまで、今では「過去のデータ」が重要な判断材料となり、それを収集したり駆使したりする力が伸びている一方、使われなくなった直感力は衰えているかもしれません。
デジタル社会では必要なくなったから衰退しても構わないと言ってしまえば簡単です。しかし直感力に注目してこれを鍛えなおすことは、自分の潜在能力を開花させ、可能性を開くことにつながっていくのです。
直感力を鈍らせる行動
直感力を鍛える方法を見る前に、人間の直感力の衰えに拍車をかけてしまう行動を見てみましょう。
直感をなかったことにする
せっかくひらめきを感じたり、イメージが頭の中に湧いてきても、直感の力を信じずに見なかったことにしてしまえば、それはひらめかなかったのと同じことです。力があっても使わなければ、それはいずれ衰退するでしょう。
バイアス(色眼鏡)で物事を見る
例えばこの人はよい感じがする、いっしょに良い仕事ができそうだと直感したとしても、バイアスが邪魔をすることがあります。「若いから経験もなくて使えないに決まってる」、「見た目がチャラチャラしてるから、中身もちゃんとしてないだろう」。
そんな固定観念が働くと、せっかくの直感やひらめきも形になりません。
直感をとらえる余地がない
せっかくひらめいても、頭の中が不要な情報だらけだと、直感を受け取る余地がありません。
放置して形にしようとしない
ひらめいたらひらめきっぱなしという態度では、慌ただしい毎日の中でせっかくのひらめきもどこかにまぎれて消えてしまいます。しかし、それはもしかすると、自分に今までとは違う可能性を開く、重要なひらめきだったかもしれません。
直感力の磨き方
それでは、人間に本来備わっている直感力をより開花させるために普段からできることを押さえておきましょう。
身体感覚を研ぎ澄ます
体の感覚を研ぎ澄ますためには、五感すべてを一度に鍛えるよりも、1つずつ、順番に鍛えていくのが効果的です。また、これは自然の中で、時間をとって、リラックスした状態で行うことが大切です。
都会では、無意識のうちにたくさんのノイズが耳に流れ込み、気づかぬうちに雑多なノイズに溺れて集中力を乱されているものです。
自然ではノイズが少ないので、聴覚を研ぎ澄ますためには、自然の中で耳を澄まして聞こえる音1つ1つに集中し、聞き分けてみてください。
嗅覚、触覚なども、1つずつ意識して取り組んでみましょう。
瞑想する習慣を作る
これも落ち着ける場所で、リラックスした状態で行うことが大事です。呼吸を整え、頭の中のノイズを追い出し、空っぽにすることに集中しましょう。
時間がない人は、毎日ほんの少し行うだけでも、ひらめきを捉える力が鍛えられます。
常識にとらわれない
社会で生きていくためには常識的な考え方や行動が求められますが、それがバイアスになってしまうことは先ほどの例で述べました。
自分の中にある「こうあらねばならない」、「~すべき」を一度見直してみましょう。不要なもの、ひらめきを阻害しそうなものがあれば、潔く手放しましょう。
ひらめきのための余地を作る
ひらめきを受け取る余地を作るためには、いろんなやり方があります。瞑想で頭の中のノイズを追い出して余地を作るのも一つです。また、わかりやすく、机の上のものを片付けるのもよい方法です。
自分の周りに情報が溢れすぎて溺れそうだと思ったら、本棚やパソコンのハードディスクの中からいらないものを捨て、空き容量を作り、新しいものが入ってこれれるようにしましょう。
直感を実感にステップアップさせるための方法
ひらめきを形に-直感を実感に高める方法
せっかくひらめく力を取り戻しても、ひらめきっぱなしでは、その力を可能性に変えることができたとは言い切れません。
「これ、おもしろそうだな」というぼんやりしたイメージを具体化して作品や商品、仕事や活動にすることができれば、その手ごたえや喜びの感情が引き金となって、ますます直感力が加速します。
スポーツ界やクリエイティブ業界、様々な分野で直感を形にしてきた人たちの方法を参考に、ひらめきを形にして、その効果を実感していきましょう。
方法1 直感を信じてみる
まずはここから始めましょう。直感が当たらなかった、それによって失敗した経験があると、なかなか思い切って信じることができないものです。
しかし、その失敗は、直感そのものが原因ではないかもしれません。後に述べるような直感を形として実現する様々な資源が足りなかったり、マーケティングやセールスの問題だったかもしれません。
ウケたかウケなかったか、形にするかしないかは別のこと、ひらめいたそのアイデア自体はよいものだったはずです。そういうアイデアの源泉となる自分の直感力を信じましょう。
方法2 どんな小さなひらめきもメモを取る
せっかくひらめいても、メモを取らなければ日常の些末な慌ただしさや溢れんばかりの情報にまぎれて忘れてしまいます。
どんな小さなひらめきも、ふるいにかけず、しっかりメモをとる習慣をつけましょう。「これって何の役に立つかわからないけれど面白い」、そんなひらめきが、時間をおいて何かに化ける可能性を捨てないでください。
方法3 アイデアをビジュアル化する
メモを取る際に、言葉で説明するのもよいですが、右脳の力を利用して、見えた映像やイメージそのものをビジュアルに表現してみましょう。
ポテンシャル・トレーナーの生田知久さんは、このイメージ力のことを「頭の中の視力」であると言います。多くの人は漠然とイメージするだけで細部まで再現できません。それは言ってみれば頭の中の視力が0.1レベルであるのと同じこと。ひらめいたイメージを実現するには、頭の中の視力を鍛えて、細部まで具体的な形を描けるようにしていくのです。
生田知久。2013、「あなたの潜在能力を100%引き出すたった1つの方法」、SBクリエイティブ株式会社
そのトレーニングを積むことで、漠然としたひらめきや夢を現実に近づけていけるのです。
方法4 ひらめきを検証してつながりを見出す
最初は何となくのひらめきですが、なぜそれが自分に降りてきたのか、自分とはどのようなつながりがあるのかを検証していくと、ひらめきと自分との間に一本の線が見えてくるかもしれません。
そうすることで、自分の現状とは全くかけ離れて見えるひらめきやイメージとの間にかたいご縁を生み出すのです。
その際は、自分とは関係ないわという常識や固定観念を捨てて臨むことが、いろんなつながりの糸を発見するためのコツです。
方法5 おもしろがる仲間を作る
せっかくのひらめきも、自分一人の力では形にするのが難しいものです。そんな時、仲間の存在はとても頼りになるものです。
ただ、常識やバイアスに囚われる人であると「そんなの無理だよ」、「やめたほうがいいよ」と実現力を阻害されることになりかねません。
いつもの仲間も大事ですが、同業種やお得意さんにこだわらず、思い切って違う角度からそのひらめきを面白がってくれるいろんな分野の仲間とつながりましょう。
そうすることで、ひらめきを形にする力がぐんぐん加速すること間違いなしです。
まとめ
直感はあやしい、あやふやであると一蹴されてしまうこともありますが、自分まだ見ぬ面白い地平に導いてくれる、可能性にあふれたものなのです。直感力を鍛えること、そしてひらめきを形にして実感を得ることで、その可能性はますます加速していくことでしょう。