信頼関係の築き方!原則は?壊し方は?小手先のコツはいらない

ストレス

学校でも職場でも、そして身近な人間関係でもお互いに信頼が大事だということは、今さら改めて言われなくても、教育やメディアで、上司や先生、親や親しい人から耳にタコができるほど聞いていることでしょう。そして、実際に自分の周りに信頼の網を張り巡らしたいと願って、いろいろ試行錯誤してきたことでしょう。

それなのに時々「本当にこれが信頼関係と言えるのか」といぶかしく思ったり、「信頼関係が大事」と口癖のように言う人に信頼を寄せることができなかったり、一筋縄にはいかない厄介なもののように感じることもあるでしょう。

それでも、そんなものがあるのなら「本当の信頼関係」をあの人との間に築いてみたいと願うもの、私ならできるかもしれないという希望を捨てきれない自分がいるのも事実。

その願いを持っているのなら、まだ見ぬ信頼関係を築く可能性は大いに開けています。

誰も教えてくれない、信頼関係の築き方

信頼関係の壊し方なら知っているけれど…

信頼関係の壊し方

「信頼関係は何より大事」といろんなところで言われ続けた人も、具体的な築き方の方法を教えてもらった経験はほとんどないでしょう。

そのため、信頼関係をスローガンや呪文のように感じている人も少なくはないでしょう。

しかし、自分が壊す側であれ、壊された側であれ、ほとんどの人は信頼関係の壊し方なら、経験的にすぐ思いつくものです。いくつか挙げてみましょう。

〇約束を破る

〇うそをつく

〇信頼を装っておいて裏切る

〇だしぬく

〇陰口や悪口を言う

〇仲間外れにする

〇相手に嫌なことを押しつける

〇協力しない

〇相手の善意に依存する

具体的なケースを持ち出さなくても、誰でも思い当たることばかりですね。

信頼関係が大事だと頭ではわかっていても、自分可愛さ、損得勘定が先に立つと、自分を守るためにこういう行動に出てしまいがちです。または、お互いの腹を探ったり、駆け引きに出たり、やんわり相手を操作することもあるでしょう。

あるいは、「信頼が何より大事だから」という思いが強く、何でも自分が引き受けてしまう人もいます。しかし、いつの間にかバランスを崩し、自己犠牲のループに陥って疲弊してしまうのならば、それは本当に信頼関係を築くための行動とは言えません。

それでも信頼関係をあきらめきれない

それでも信頼関係をあきらめきれない

それでも、信頼関係を築くのに失敗した人ほど、まだ見ぬ「本当の信頼関係」に憧れ、心から渇望するものです。

日々、腹の探り合い、駆け引き、操作で神経が張り詰めている自分に気づいたならば、今がまだ見ぬ関係性に向かって一歩踏み出す時期なのです。

そして、多少信頼を損ねても、人間関係は簡単にリセットできるものではありません。割り切った関係なら別ですが、自分にとって大事な関係ならなおさら、信頼を損ねると後にずっと響き、その信頼を回復するには多大なエネルギーと時間を要します。

信頼関係の原則

信頼関係の築き方に特効薬はない

信頼関係の築き方に特効薬はない

私たちの身の回りには、信頼関係の大切さや意識の持ち方について、実にたくさんのヒントがあります。古いものでいえば神話や伝承の中の教訓に、宗教の教えに、人間哲学や心理学の理論の中に、最近では教育やビジネスの手引きの中に、形を変えてはいますが、それらの教えには共通項が非常に多いのです。

ただ、どれも「こうすれば今すぐ信頼関係が手に入る」といったタイプのものではありません。教えの中に出てくる人物をロールモデルに真似っこしても、自分とは状況が違うのでうまくいかないと感じている人も多いことでしょう。

それは、自分に身についてしまった人間との向き合い方の癖を見直したり、軌道修正する必要があるからです。つまり、推奨されることをやみくもに実践したり、人まねをするのではなく、原則に照らして自分を見直し、行動を変えてみることが必要なのです。

即効性を求めてこの記事を読んでくださった方も、時間がかかることに落胆しないでください。時間をかけること、それが信頼関係を築くための欠かすことのできない大前提なのですから。

積み上げたブロックを壊すのは一瞬、それをまた積み上げて美しいお城を築きたいなら、ていねいな作業が必要なのです。

まずはここから、「信頼関係を築くには時間を要する」という当たり前の原則を自分自身が引き受けることから始めましょう。

信頼関係を築くための方法とは?

信頼関係を築くための原則

ここでは、「こうすべし」という行動を示すのではなく、相互信頼を生み出すための原則をあげてみます。

自分自身の人と向き合う際の「感情」、「姿勢や態度」、「行動」をそれぞれの原則に照らして振り返ってみましょう。

時間をかけて積み上げる

前項で書いた通り、この点についてまず受け入れることからしか始まりません。

先手を打って信頼の種まきをする

先手を打って信頼の種まきをする

「あの人がきちんとしてくれないと信頼できない」、「相手が信頼してくれないから、私も安心して信頼を返せない」そんな風に、信頼関係を相手の出方次第と考えていないでしょうか。

人間関係の根底には、相手を変えることはできないという大原則があり、それは信頼関係の築き方にも当然当てはまります。

自分から相手を信頼の姿勢を作る、自分が信頼される行動をとらない限り、信頼の連鎖は生まれないのです。

未来の信頼関係に投資する

未来の信頼関係に投資する

とはいえ、相手を信頼したつもりなのに裏切られた経験を持つ人は、恐怖や不安が先に立ってしまうことでしょう。

過去の失敗の恐怖を引きずって行動すると、脳がその感情に支配され、無意識に望まない方向に向かってしまうものです。

結果は誰にも保障できません。言うまでもなく、投資は自己責任で行うものです。「私は、私の責任で、この関係性を前向きにするために投資するのだ」と心に決めましょう。

そうすることで、たとえ長い関係性の中で信頼関係が揺らぐようなことがあっても、「私がこうすることを選んだのだ」という気持ちがあれば、一方的に裏切られたと感じてトラウマになることはありません。

人間関係を相手次第にするから、不安や恐怖が尽きないのです。「この関係を自分で選んだ」、「信頼関係を築くために投資している」という自己責任感を持てば、それらはスッと消えてなくなるのです。

信頼関係のタイムラグを受け入れる

信頼関係のタイムラグを受け入れる

自分が先手を打って信頼の気持ちや姿勢を相手に贈ったら、その効果があったかどうか、すぐに確かめたくなるものです。

しかし、信頼は物々交換とは違い、自分が贈ったものと同じ程度の価値のものが即座に返ってくるとは限らないのです。

例えば、先輩が築いてきた取引先との信頼関係のおかげで、取引先が初めて会う新人のあなたの話を信用して、信頼の投資の気持ちを向けてくれることもあるでしょう。

あなたが過去の誰かの投資の結果を思わぬ形で受け取ることがあるように、自分の投資は時を超えて、どこか別の場所で想像していたのとは違った形で実を結ぶこともあるのです。

この信頼関係のタイムラグ(時間差)原則を心にとどめておけば、結果を焦ったり、勝手に相手に失望したりすることはなくなります。

損得勘定、見返りへの期待を手放す

損得勘定、見返りへの期待を手放す

タイムラグの原則でも触れましたが、信頼関係を自分から築こうと努力しても、即時に、同等の信頼を受け取れるわけではありません。

その時に、多くの人はつい「私は損をしている」、「見返りのない自己犠牲だ」と思ってしまいがちです。

そもそも、信頼関係は損得勘定とは別の視点で捉え直さなくてはなりません。人間関係は良くも悪くも連鎖するので、損得や見返りを求める気持ちが入ると、相手もそれに則った対応を返してきます。

見返りを期待しておべっかやへつらいの言葉を使えば、相手もそんな低次元の対応に見合う対応しかしないでしょう。

それは、あなたが本当に望んでいる信頼関係でしょうか。それとは違った信頼関係のあり方を探っているのではないでしょうか。

日本社会には、取引先との接待や飲み会など、人間関係を円滑にするための慣行がたくさんありますが、それは相手とのコミュニケーションの濃度を濃くするための伝統的な知恵であえると言えます。しかし、その席では取引を成立するために奢る、おべっかを使って持ちあげることであるという勘違いが横行しているように見えます。

信頼関係を築くには、そういう慣行をうまく使いこなしつつ、原則に立ち戻って自分の言動を考える必要があるのです。

win-win関係をめざす

win-win関係をめざす

信頼関係にひびが入った時、「信頼した自分が損をした」という感覚に陥りやすいのであれば、人間関係のバランスについて見直す必要がありそうです。

人間関係の基本は、成熟した個人と個人による相互依存が基本ですが、どちらか一方が未熟であったり、一方が他方に依存しすぎてバランスが崩れることはよくあることです。

理想的な状態は、自分も満たされ、相手も満たされるwin-win関係です。しかし、たいていは自分が満たされるために奪い合う「競い合い」、自己犠牲に陥りやすい「譲歩」、あるいはそもそも関わらない「(回避)」という3つのパターンに落ち着きがちです。

相手に信頼してもらうということは、自分の主張を押し曲げて相手を立てることではありません。お互いに満たされあう関係づくりのためには、お互いの主張を力で抑え込んだりせず、率直に伝えあえる関係性が大事です。

日本社会においては年齢、性別、上下関係などの立場によって自分と相手の距離を推し測り、相手によってコミュニケーションの態度を変えることがあり、それに慣れてしまっています。しかし、信頼関係作りのためのコミュニケーション、特に同じ目標に向かう人とのコミュニケーションでは、その関係性がプラスに働くことはありません。

目標の共有、バランスの取れた相互依存、ていねいなコミュニケーションがwin-win関係を築く鍵です。

まとめ

信頼関係に即効性のある処方箋はないので、誰でも自分に引き付けて考え、応用できるように原則をまとめてみました。見返してみると、自分以外の人が築き上げてきた信頼に支えられていることに気づいた方もいらっしゃることでしょう。

信頼の連鎖を張り巡らしておくことは、自分だけではなく、自分が生きている社会をより生きやすくすることにもつながっていくのです。