欧米では挨拶として当たり前に行われているハグ。しかし公衆の面前で愛情表現を行うことにオープンでない日本では、ハグはこれまで慣習化されてきませんでした。しかしハグにはストレス緩和や精神状態を安定させるといったさまざまな効果があり、昨今日本でもハグのもたらす効果に注目が集まっています。
大好きな相手を抱きしめ、抱きしめられるハグは、心を落ち着かせ、不安な気持ちや焦燥感を取り除いてくれます。親子で行うハグや恋人と行うハグだけでなく、街頭で行われる「フリーハグキャンペーン」も話題。街頭で見知らぬ人同士が一瞬のうちに心を通い合わせることの出来るハグ。ネガティブな感情を取り除き、相手への信頼感や親愛の気持ちを高めることが出来ます。
ハグの効果ややり方、ポイントなど、ハグについて知っておきたい必須知識をまとめてみました。相手を抱きしめるだけのハグには、私たちの人生を豊かにしてくれるたくさん秘密が詰まっています。
ハグとは?
ハグとは愛情表現の一つで、両腕で相手を抱きしめる抱擁のことを指します。相手を抱きしめるというと、日本では恋人を連想しますが、欧米では友達や家族間で行うハグが慣習化されています。
ハグの目的は行う相手によりさまざま。恋愛感情ばかりでなく、親愛の気持ちや親子間の愛情、友達との信頼関係や慰めあいなど、さまざまな意味合いを持ちます。
ハグにはさまざまな効果があるとされており、最近ではハグを用いたヒーリング法も人気を集めています。
ハグの効果
ハグをするとβエンドルフィンが分泌される
βエンドルフィンとは脳内麻薬とも呼ばれる脳内にある神経伝達物質で、心地よいもの、気持ちの良いものを見たり、聞いたりすると分泌されます。βエンドルフィンには鎮静作用があり、幸せな気持ちを誘発するといわれています。
βエンドルフィンが分泌される場面はさまざまですが、性的行為やハグなどの愛情表現を行ったとき、好きなものや美味しいものを食べたときなどに分泌されやすくなります。
またβエンドルフィンは単に気持ちを良くさせるという効果だけでなく、強力な鎮静作用がありますので、がん治療に使用されることもあります。
ハグで健康になれる!
ハグの主な効果を挙げてみると、不安感の解消、ストレス緩和、鎮静作用、不眠解消、免疫力アップ、リラックス効果など。抱きしめ、抱きしめられるという簡単な行為にも関わらず、多くのメリットが得られることこそ、ハグの大きな特徴になります。
一日一回必ずハグを行う習慣を付けると、ストレスを緩和できるだけでなく、高血圧や心臓病などの健康上のリスクも軽減できるといわれています。
ハグによる人とのつながり
ハグを行う目的は相手に対する愛情表現だけに留まりません。親愛の気持ちを伝える、相手への信頼感を伝える、人とつながっているという感覚を得る、幸せを分かち合う、相手から元気をもらう、ヒーリング、ストレス解消など、ハグの目的はさまざまです。
ハグを行うことにより、今日あった嫌なことや不快なことが帳消しにされ、疲れた心が癒されます。
ハグすると安心できる効果
両親からたっぷりと愛情を注がれ、抱きしめられて育った子供は、情緒が安定し、感情表現を素直に出来る人間に育ちやすいといわれています。ハグの大きな効果の一つは、ハグをされることにより、無条件の愛情に包まれていると感じられること。
子供がお気に入りのぬいぐるみを常に抱えているのは、ぬいぐるみを抱きしめることにより、安心感が得られるから。言葉では伝わらない思いもハグすることにより、相手にしっかり伝わります。
理屈抜きに無条件で安心できることがハグの魅力、不安な気持ちに襲われたり、なんとなく落ち着かない気分になったときは、恋人や家族をぎゅっと抱きしめるだけで、気分が不思議に落ち着いてきます。
ハグによるオキシトシン効果
オキシトシンとは脳内物質の一つで、愛情ホルモンや恋愛ホルモン、抱擁ホルモンという名前で呼ばれることもあります。オキシトシンを分泌させるには、ハグやボディタッチなどのスキンシップが有効とされています。
オキシトシンが分泌されると幸せな気持ちになりやすく、また周囲の人とのコミュニケーションもうまく取れるようになるといわれています。
恋愛ホルモンと呼ばれるのは、オキシトシンが分泌されると、相手への信頼感が増し、親愛感情が増すため。恋人とのスキンシップを重ねることにより、二人の間の絆はさらに高まります。
ハグによるヒーリング効果
ハグには気持ちを安定させ、疲れた心を癒してくれるヒーリング効果があるとされます。ハグはスキンシップの一形態、相手に触れ、触れられることにより、お互いを癒し、癒されるという相互関係を築けることも魅力です。
相手に一方的に依存する関係ではなく、ハグをすることにより、お互いの持つエネルギーを交換し合いましょぅ。これによりストレスが減り、元気になれる気がします。
ハグを習慣付けると効果アップ
ハグは習慣付けて行うようにするとさらに効果が上がります。ハグの習慣がない方はハグに慣れるためにも、出来るだけ頻繁にハグを行う習慣をつけるようにしましょう。
ハグは行う回数が多くなるほど、自然に出来るようになります。人からハグをされても、ぎこちないハグしか返せない方は、まだまだ練習が足りないといえます。ハグをする回数が増え、ハグをする相手も増えると、自然にハグが上手に出来るようになります。
ハグしてもらいたくなったら
ハグをしたいと思っても、彼にどのようにアプローチしていいか分からない。ボディタッチが苦手な方やハグに慣れていない方にとって、いきなり彼をハグするのは恥ずかしく、変なふうに誤解されるのが嫌で、思い切って行動に移せないこともあるようです。
ハグしてもらいたいときには、言葉でなぜハグしてもらいたいかを相手に直接伝えてみましょう。嫌なことがあったから癒されたい、優しくされたい、と素直に伝え、ハグに相応しい雰囲気作りをしてみましょう。正面からハグすることが出来なければ、横に座っている状態から、あるいは相手の背中から手を回し、ボディタッチを行い、自分の気持ちが相手に伝わるようにしましょう。
ハグの仕方、方法
ハグの仕方に正式な決まりがあるわけではありません。欧米で友達や家族の間で挨拶代わりに行われるハグは、正面を向き合い、両腕でお互いを抱きしめることで行われます。
両腕を相手の背中にしっかりと回し、自分が相手のことを大切に思っていることが伝わるようにしましょう。相手を癒し、自分も癒されるハグが理想です。
ハグするタイミングは
普段からあまりスキンシップをしない方は、どんなタイミングでハグをすればいいか、非常に迷うようです。デートの最中に何のきっかけもなく、いきなり彼をハグしようとするのは確かに難しいかもしれません。
うまくハグしようと思ったら、いきなり相手にしがみつくことはやめましょう。まずは相手の体にさりげなく触れ、スキンシップがしたいという気持ちが相手に伝わるようにしましょう。
会ったときにいきなりハグするのはちょっと気恥ずかしいものですが、デートの終わりや就寝前など、自分も相手もリラックスしたときに行うようにすると、比較的楽に出来るようになります。
上手なハグの行い方
ハグは相手がいてこそ成立するもの。ハグをしようと思っても、相手にその意思がなければ、無理やり行ってみても気まずいだけです。
ハグを行う際にはまず相手にその意思があるかどうかそれとなく見計らうようにしましょう。相手に自分がこれからハグしようとしていることを知らせるため、相手の前に少し距離を置いて立ち、両腕を広げてみましょう。
相手も同じように両腕を開いたら、両腕を相手の背中に回し、軽く抱きしめるようにします。このとき、片手で相手の背中をぽんぽんと叩いてもいいでしょう。
抱きしめる力は相手との関係により異なります。基本的には相手が込める力と同じ程度の力を返すようにします。ハグを終えるときも唐突に体を離すのではなく、相手と気持ちを合わせるようにし、余韻が残るタイミングで体を起こしましょう。
ハグをするときは自然な笑顔で
ハグをするときには自然な笑顔で、自分の元気を分け与えるように行いましょう。ハグをすることの目的は幸せな気分を引き出すこと。不機嫌な顔でハグをしていても、ハグの効果は得られません。
ハグをするときには相手に自分の好意が十分伝わるように、心を込めて笑顔で行うようにしましょう。しかめ面をしたり、さも嫌々そうにハグをしていると、相手も困ってしまいます。ハグをする以上、自分も相手も幸せな気持ちになるよう努力してみましょう。
ハグをする場所を選ぶ?
カップルが公衆の面前で手をつないだり、ハグしたりすることは、欧米では容認されていますが、日本では公衆の面前での愛情表現に対して、まだまだ保守的な考え方を持つ人が多く、ハグをするときも場所柄を選んだほうがいいこともあります。
また人によっては、性格的に人前でハグをすることに抵抗を感じる人もいます。自分がしたいからといって、相手の気持ちや希望を無視してハグしても、幸せな気持ちになることはないでしょう。ハグをする場合には、時と場所、そして相手の気持ちを優先して行うようにしましょう。
ハグをする相手は?
日本では家族や友人同士でハグなどの身体的な親愛表現をすることは稀です。したがってハグというと、恋人と交わすものが思い浮かびます。もちろん恋人や配偶者と行うハグは、ハグの中でももっとも多いパターンといえますが、親子や気の合う友達、趣味やスポーツ仲間と行うハグもあります。
親子や家族間で行うハグの効果
とくに母親が子供をハグすることには大きな効果があるとされています。母親にタッチされることにより、子供の精神状態は安定し、リラックスした状態がもたらされます。母親からボディタッチを多く受けて育った子供は、問題行動が少なく、情緒豊かになるという効果もあります。
恋人と交わすハグだけでなく、友達や家族ともハグする習慣をつけるようにすると、お互いに対する距離が自然に縮まり、良好な関係を維持することが出来ます。
友達とのハグ
友達や気の合う仲間と行うハグは、仲間意識やお互いに対する信頼感を高めることができます。スポーツ観戦の折や、同窓会、謝恩会、パーティなど、友達や仲間と集う場所は、気軽にハグの出来る絶好の機会を提供してくれます。
同窓会など、久しぶりの再開を交わした友達となら、ハグをすることへの抵抗感なく臨むことが出来るでしょう。久しぶりに会えて嬉しいという気持ちが相手に伝わるように、心をこめてハグすることがポイントです。
恋人とのハグ
友達や家族と行うハグが友愛や親愛、信頼といった感情を示すのに対し、恋人と行うハグは愛しているという気持ちを伝える絶好の機会、言葉では表しきれない自分の思いを彼にうまく伝えるようにしましょう。
友達と行うハグは友情の証し、これに対して彼とのハグは二人の間の愛情の深さを表す大切な表現になります。二人ともがもっともリラックスできる時間に、ゆっくりと時間をかけてお互いの気持ちを確かめ合いながら、ハグするようにしましょう。
フリーハグとは?
世界各地で流行しているフリーハグ(ズ)、フリーハグとは街頭に立ち、通りを行過ぎる全く面識のない人たちとハグを交わすというムーブメントで、キャンペーンの動画配信などで、今では知らない人がいないほど有名になりました。
フリーハグの素晴らしさは、まったく見ず知らずの他人同士が、ハグを通じて心を通わせることが出来ること。たとえ短い間であっても、他の人とつながっているという心温まる感覚を持つことが出来ます。見ているだけで微笑ましいフリーハグ、疲れた心を癒してくれます。
幸せを運んでくるハグ
どんなに頑張っても思い通りにいかないとき、イライラが募ってストレスが溜まっているとき、好きな人や身近な人と交わすハグにより、心が落ち着き、幸せな気持ちが湧き上がってきます。
お金もかからず、手軽に出来るハグはヒーリングにぴったり。自分が癒されるだけでなく、大好きな相手との絆も深まる上、お互いに対する愛情も高まります。
まとめ
ハグは誰と行っても、心が落ち着き、幸せな気分が内側から湧き上がってくる元気の源です。家族、友人、仲間、恋人、配偶者と、誰と行っても充足感が得られる万能のコミュニケーションといえるでしょう。
ストレス緩和、不安解消、リラックス効果などに加えて、ハグをすることでお互いの関係がさらに円満に、和やかなものになります。いつも幸せそうにしている人の秘密は、人生を豊かにものにしてくれるハグにあるのかもしれません。