完璧主義は一方でたくさんの利点がありながら、同時にデメリットもたくさんあります。日常生活においてすべてに完璧を求める人は、周囲の人から煙たがれるばかりか、自分自身を極限まで追い詰める傾向にあります。
人間である以上、間違いや誤りをおかしてしまうのは当然。どんなに優れた才能の持ち主であれ、一人一人の能力には限りがありますので、すべてを完璧な状態に置くというのは、事実上不可能なことです。
自分自身の能力や努力の限界とは別に、事の次第が当初の計画通りに運ぶかどうかは、その時々の状況よっても大きく異なります。物事をきちんと完璧にやり遂げたいという気持ちは立派ですが、その気持ちに引きずられ、自分自身が不自由な思いをしても仕方がありません。
どうしたら窮屈な完璧主義から脱却し、自分も周囲の人も楽にすることが出来るかを考えてみましょう。結果だけに囚われない、良い意味での完璧主義を目指すためのポイントです!
自分を追い詰めない
すべての仕事を完璧にこなそうと、自分を極限まで追い詰めるのはやめましょう。万事細かいところまできちんとしていないと気が済まない方は、何事も自分の望む基準まで達していないとイライラしてしまい、自分の能力限界まで頑張ってしまう傾向にあります。
あまりにも自分を追い込んでしまうと、内に備わったポテンシャルを十二分に発揮することは出来ません。少し肩の力を抜くような気持ちで余裕をもって事に当たるようにしましょう。
自分の力だけでは成し遂げられない
完璧主義の方はもともと能力や才能に優れている場合が多く、どんな事柄に関しても最上の結果を求めてしまいます。しかし物事は自分一人の力だけでは成し遂げることが出来ません。
置かれている状況次第ということもあれば、同僚や友達の協力次第ということもあります。とくに職場での業務などでは、自分一人の力ですべての業務が完了するわけではありません。自分だったらこうするのに、という気持ちを抱いても、他人の言動をすべてをコントロールすることは出来ません。
人間の能力や性格、素質には個人差がありますので、自分ならこうする、という見解をかざすだけでは、自分がいらいらするだけです。自分なりの最善を尽くしたら、あとは周囲の人の力に頼ることも覚えましょう。
結果だけがすべてではない
完璧主義を貫いていると、どうしても結果を出さなければ満足できなくなります。しかし物事の良し悪しや成否は結果だけで判断できるものではありません。完璧とはほど遠い、一見無駄・無益と思える経験の中にも、これからの人生に役に立つ事柄は必ずあるはずです。
結果だけでなく、一つ一つのプロセスを丁寧にこなすことに対して、喜びと誇りを見出すことが出来るようになると、心にゆとりが生まれます。
完璧なものがベストとは限らない
完璧に物事をこなすことに誇りを感じる完璧主義者。確かに物事が完璧なのは良いことですが、あらゆるものをこの原則に当てはめることは出来ません。中には不完全なもののほうが魅力があったり、好まれたりする場合もあります。完璧なものだけが完全無欠とは限らないということを知りましょう。
人間であれば、誰でも一つは二つ短所はあるもの、自分の短所や悪い点を自分に対しても認めようとしない頑なな態度は、家族や周囲の人からも疎まれてしまいます。
失敗を受け入れる度量を持つ
自分の失敗や過ちを許容するようにしましょう。人間には失敗や過ちは付き物、どんなに完璧を目指していても、どこかしら不完全な部分は出てしまうものです。いつでもどこでも完璧さを要求する人は、一つでも納得のいかない部分が生じると、それ以上ことを進めることを放棄してしまうこともあります。
完璧なもの以外は受け入れられないために、何一つ最後まで完成することが出来ないのでは意味がありません。たった一つの間違いや不完全さに気を取られ、目標達成を放棄することがないようにしましょう。
他人に対して完璧さを求めない
完璧さを自らに求めるだけならまだしも、周囲の人に対しても常に完璧さを要求する人は、職場でも家庭でも迷惑な存在と化しているかもしれません。
自分に対するハードルを下げられない方は、少なくとも他人に対するハードルを必要以上に高くすることはやめましょう。
完璧さ以外に求められているもの
物事を行う上で重要なことは、何も完璧さだけではありません。完璧さ以外の美徳も同時に備えるようにすると、完璧さだけを追求するという不自由さから解放されます。
たとえば計画性や実行力、緻密さや綿密さ、協調性や統率力など、社会人に備わっていることが望ましい属性は数多くあります。
物事が完璧に整っていることを求める姿勢が間違っているわけではありませんが、行き過ぎると美徳も悪徳に変わってしまいます。完璧さとともに他の属性も伸ばすようにすると、バランスの取れた人として周囲の人からも高く評価されます。
途中でやめない大切さ
何かを始めても途中で何か満足できないものがあると、そこですべての作業をやめる人がいます。このように些細なことでやり始めたことを中断していたら、何であれ最後まで達成することができません。
自分では納得できないことが起こっても、いったん始めたことは最後までやり遂げるようにしましょう。完璧主義を物事を中途半端な状況で中断する言い訳にしないように注意しましょう。
適当に済ませることも覚える
完全なタイミングや状況を待っていると、いつまで経っても何も出来ないことがあります。たとえば部屋の掃除やダイエット、ウォーキングやジョギングなどのエクササイズなど、何も完璧主義者だけに限った話ではなく、大多数の人はやるからにはきちんと完璧に行いたいと思うはずです。
しかしどんなに強い決意と意志で臨んでも、その時々の状況や気分によってうまく運ばないこともあります。うまくいかないので途中でやめるならまだしも、完璧に運ばないことを恐れ、そもそも最初から手をつけないという人もいるかもしれません。
これに思い当たることがある方は、まずは適当に済ませることを覚えましょう。今日出来ることを最優先し、計画は後回しにするような、ある意味適当な態度を取ることもたまには必要です。
良い意味での完璧主義を目指す
自分と他人をあまりにも狭い完璧主義という檻に閉じ込めるのではなく、良い意味での完璧主義を目指しましょう。行動の枷になる完璧主義は意味がありません。たった一つの失敗で挫折するような完璧主義は、あってないようなもの。
最終的にベストな結果に至るには、失敗を修正しながら前に進むことの出来る強い精神性が求められています。完璧主義を説くカリスマ的企業家たちですら、過去にはさまざまな紆余曲折を経ているからこそ、現在の完璧な状態に辿りついたともいえます。
どうしても完璧主義にこだわりたい方は、ネガティブな完璧さを捨て、実のあるポジティブな完璧主義を目指しましょう。
まとめ
不完全な人間の集合である社会の中で、完璧さを求めるというのは、容易いことではありません。
自分に対して厳しい完璧主義ならまだしも、他人に対して異常な厳しさを求める方は、とかく周囲の人からあれこれと批評されてしまいます。自分では完璧さを求めているのに、我がままだ、自分勝手だと噂されるのは嫌なものです。
日常のすべての局面で完璧さを貫くのは不可能事、悪い意味での完璧主義から脱却するには、精神的なゆとりを持ち、考え方や行動に柔軟性を持つようにすることが重要です。