セレンディピティを高め幸運をつかみとる方法

セレンディピティについて知っておきたいこと やる気・向上

「セレンディピティ」という言葉を聞いたときに、まずどんなことを思い浮かべますか?幸運を呼び寄せる力、思いがけない益をもたらす才能、予測もしないビジネスチャンスの開ける好機を掴む能力など、セレンディピティとは、偶然に、そして予期せずに訪れる素晴らしい好機・発見をつかむ秘められた能力を指します。

セレンディピティをつかむ素質のある人は、そうでない人に比べて、より楽しく、満ち足りた毎日を送ることが出来ます。目の前にある素晴らしい偶然も、その本質と価値を理解できる能力と心構えを持っていなければ、有益に用いることは出来ません。

ここではセレンディピティとは何かということに始まり、その特徴、さらにどうしたらセレンディピティをつかむ素質を備えることが出来るかについてまとめてみました。感覚を研ぎ澄まし、鋭い観察力と洞察力で、セレンディピティをつかみましょう!

セレンディピティとは?

セレンディピティとは?

セレンディピティという言葉は、幸運や好機に恵まれる能力や素質を指して用いられることが多いのですが、本来の意義としては次のような考え方もあります。

偶然に予想外に見出されたもの

すなわちセレンディピティとは、ある特定の何かを探しているプロセスの中で、求めているものではない別のあるものを偶然に発見する力を指す、というもの。

偶然に予想外に見出されたとはいえ、その偶然の産物は本来探していたものと同様、あるいはそれ以上の価値、意義のあるものであり、科学・医学上の発見の中にはこのセレンディピティによるものが多く存在します。

セレンディピティの語源とは?

「セレンディピティ」の語源は、18世紀を代表するゴシック・ホラー「オルラント城」の著者、イギリスのホレス・ウォルポールが友人に宛てて書いた手紙に帰するといわれています。

ホレス・ウォルポールは貴族階級出身の文化人、このウォルポールがペルシャ童話「セレンディップの三人の王子」の中で起きる幸運な巡りあわせや快い驚きについて言及したことが、セレンディピティの語源の始まりといわれています。

セレンディピティにより発見されたもの

セレンディピティにより発見されたもの

自然科学の世界では昔からセレンディピティのはたらきが高く評価されてきました。有名な事例を挙げると、キュリー夫妻の発見したラジウム、他にもペニシリンやX線、ダイナマイトなど、挙げていくと枚挙に暇がありません。

科学物質や医学上の発見以外でも、現在では毎日の必需品となっている便利なもの、たとえば電子レンジや付箋、マジックテープなどがあり、セレンディピティの果たした役割は多岐にわたっています。

セレンディピティの力を高めるには?

セレンディピティの力を高めるには?

セレンディピティという一種独特の才能は、身につけようと思って出来ることではありません。しかしこの能力に長けた人たちについて考察することにより、その秘密の一部を知ることが出来ます。

予期しない幸運や新しい有益な発見をもたらす人たちには共通点があります。それは探究心や洞察力に優れていること、またたとえ些細なことであっても注意深く観察し、そこから学び取ろうとする真摯さや謙虚さを備えていることなど。

自分の周囲に起こる事柄に対して真摯な態度で臨みながら、洞察力や観察力を磨く。偶然遭遇した事柄や事象を狭量さのない心と聡明さで受け止め、ここから理解したこと、学んだことを自分だけでなく、周囲の人全体に役立てたいと思う心のあり方。これこそセレンディピティをもたらす原動力となります。

幅広い探究心を持つこと

幅広い探究心を持つこと

自分の興味のあること、好きなことだけでなく、それ以外のさまざまな分野に関しても幅広い探究心を持つようにすると、思いがけない事柄や出来事に遭遇しやすくなります。

ジャンルを固定せずに心の赴くままに、いろいろな角度から知識を得るようにしましょう。一つの見方にこだわっていると、見えてこないこともあります。幅広い探究心を持つと同時に、一見すると馬鹿げていると思われることや、うまくいくはずのないことにも挑戦してみると、思いがけない新しい発見があります。

好奇心旺盛になること

好奇心旺盛になること

知りたい、学びたいという欲求のない人は何を耳にしても、何を目にしても興味がないため、外部からの刺激にさらされず、変化のない毎日を送ってしまいます。セレンディピティをつかめるかどうかは、好奇心があるかどうかにもかかっています。

何事に関しても貪欲な好奇心を持つ人は、自分の周囲で起こることに対して、なぜそうなのか、ということを常に考えています。知りたい、学びたい、理解したいという好奇心がプラスにはたらくような態度を身につけましょう。

観察力を磨く

観察力を磨く

自然科学の分野におけるセレンディピティは、あることを立証しようと実験・研究・考察している最中に、目的とは違う別の何かを見出すことにあります。求めているものではない事柄に偶然気付くのは、観察力が鋭いからともいえます。

直接関係のないことでも、注意深く観察し、そこに何かしらの意味を見出す。いつどんなときでも冷静な観察力により、物事の意義を汲み取れる人こそ、セレンディピティの能力に恵まれている人といえます。

周辺分野に対しての目配り

周辺分野に対しての目配り

自分のもっとも得意とする分野だけでなく、周辺分野への目配りも忘れないようにしましょう。偶然に何か素晴らしいことに遭遇するには、ただ一つの事柄に集中するのではなく、それに関連する周辺分野に関しても目配りを忘れず、興味をもって知る努力をすることが必要です。

本題からちょっと逸れたテーマについて考えているうちに、それを取り掛かりにして本題が解決されるということもあります。

些細なことからも学び取れる謙虚さ

些細なことからも学び取れる謙虚さ

取るに足らないこと、些細なこと、関係なさそうなことを目にして何も感じない、何も考えないという人は、セレンディピティの素質に欠けています。セレンディピティをつかむ素質とは、自分が遭遇した出来事や事象を見て、そこから何か重要なことを学び取る態度を指します。謙虚にして、賢明、一見関わりのないことに相関性を見出せる柔軟な考え方の出来る人は、セレンディピティを容易くつかみます。

何に対しても対応できる用意周到さ

何に対しても対応できる用意周到さ

予想外のハプニングが起こっても即座に反応できるよう、常日頃から頭と心を「待機」させておける人も、セレンディピティをつかむ素質のある人です。

思いも寄らない新しい発見や考察は、その重要性に気がついてこそはじめて意味を成します。ある事柄が重要な意味を持つかどうか理解できないようでは、訪れた好機や運をみすみす逃すようなものです。重要性に気付くには一つ一つのデータだけでなく、全体像を把握できる余裕と周到さが必要です。

遊び心を持つ

遊び心を持つ

まじめに言われたことだけをこなしていては、思いがけないことに遭遇しません。無計画だったり、無謀だったりするのは困りますが、常識の範囲内で遊び心を持つことも必要です。

本筋からちょっと脱線したところに、意外な宝物が隠れていることもあります。寄り道をしなければ気が付かないこともあるでしょう。心にゆとりを持ち、最短距離ばかりでなく、たまには回り道をしてみましょう。

積極的に知り合いを増やす

積極的に知り合いを増やす

自分と同じタイプの人だけでなく、いろいろなタイプの人と知り合う機会を積極的に見つけましょう。自分の専門分野だけでなく、違う仕事をしている人や違う考え方を持つ人との交流から、自分では気がつくことのなかったことに気づかされることもあります。

異業種間の交流がもてはやされるのも、このような意味合いを含んでいるから。視点を変えて見てみると、また新しいアイデアが浮かぶことがあります。

無駄なことなどない

無駄なことなどない

能率主義にはそれなりの意義がありますが、能率的であろうとするあまり、すべての無駄を排除していると、思いがけない発見には至りません。

こんなことしても無駄かな、と思われることも、時間や精神的な余裕があれば、ぜひ挑戦してみましょう。セレンディピティの真髄は、思いがけなく、偶然見出される価値ある発見。無駄と思われることの中にも、価値あるものが秘められている可能性は十分あります。

すべての事象は相関関係を持つ

すべての事象は相関関係を持つ

この世の中のすべての事象は互いにつながりあっていると心得ておきましょう。水面に投げ入れられた小石ががさざなみを立てるように、一つの出来事を引き金に次々にいろいろな出来事が引き起こされます。

あることを達成しようとしているときも同様で、目標達成に直接影響を及ぼさないことの中にも、間接的には多大な影響を及ぼすものもあります。すべての出来事は互いに関係を及ぼしあうことを理解しましょう。

直感やひらめきを大切に

直感やひらめきを大切に

論理的に説明することは出来ないけれども、なんとなくうまくいきそうな気がする。往々にしてこのような直感やひらめきは、これまでに得た知識の積み重ねから演繹された結論に他なりません。

セレンディピティは直感やひらめきにより引き出されることもあります。単なる気のせいで済ませずに、気になることは試してみるようにしましょう。

失敗を恐れない

失敗を恐れない

うまくいくかどうか自信がない、自分の考えが当たっているかどうか分からない、と挑戦する前から、失敗や間違いを恐れていては、セレンディピティをつかむことは出来ません。

どんなに偉大で優秀な科学者であれ、何かを発明・発見するまでには数えきれないほどの実験と検証を繰り返してきたはず。一度の失敗を恐れ、何もしないでいる限り、新しい何かを見出すことは決して出来ません。

楽天的に考えるようにする

楽天的に考えるようにする

何事に対しても常に悲観的に考えていると、セレンディピティの素質を備えることは出来ません。いつどこでどんな素晴らしいことが起こるか分からないという楽天的な気持ちを持つようにしましょう。

自分の能力や素質を過信するのはいけませんが、必要以上に悲観的になるのも感心できません。努力を重ねていれば、いずれは何か素晴らしいことにぶつかるはず、という信念を持つようにしましょう。

自分の損得だけを考えないようにする

自分の損得だけを考えないようにする

科学や医学の分野でセレンディピティにより偉業を残した人たちは、自分の損得だけを考えて実験や研究を続けていたわけではありません。セレンディピティをつかみやすいのは、このように自分の損得を離れて、何か良い目的のために、自分のもてる力を精一杯果たしている人たちです。

好機や運をしっかりつかむには、目先の損得勘定に左右されない、より広い視野と展望を持つことが重要になります。

ネットワークでの広がり

ネットワークでの広がり

セレンディピティの効用が謳われるのは、化学や自然科学のような学問的分野、あるいは商業的な価値のある製品開発だけに留まりません。日常生活の中でもっとも強くセレンディピティの概念を味わえるのは、SNSでのネットワーキングやそのフィードに入ってくる多種多様な情報に触れるときでしょう。

SNSでのネットワーキングが拡大していくと、それに連れて知り合う人の数も増えていきます。知り合いが増えるに連れて、受け取る情報量の数も飛躍的に増え、その結果自分一人では知りえなかったことも容易に知るチャンスが激増。知識量が増えるとともに、どの情報が自分にとって有益かを判断する判断力も身に付いてきます。

検索エンジンはセレンディピティの宝庫

検索エンジンはセレンディピティの宝庫

検索エンジンを用いてある事柄を検索していると、最初に意図していた調べ物から離れたものを興味深く読んでいることがあります。検索エンジンはキーワードをもとに、オンライン上の膨大な情報から必要な情報を得られる便利な機能、一つのキーワードから知りたいことが飛躍的に拡大します。

パソコンやインターネットが発達する以前は、知りたいことがある場合には、図書館や資料館に出向き、それについて書かれた本を一冊一冊検証するしかありませんでした。しかし現在ではパソコンとインターネットのおかげで、誰でも簡単に自分の知りたいこと、調べたいことを自宅にいながら検索することが可能になりました。

検索するだけで、自分の興味のある項目だけでなく、そこからさらに興味のある分野が広がっていく。セレンディピティの宝庫といわれる理由はここにあります。

まとめ

偶然により素晴らしい幸運や発見をもたらすセレンディピティ。セレンディピティの特徴や、どうしたらセレンディピティをつかみやすい人間になれるかについてのポイントをまとめてみました。

セレンディピティをつかむには、まず洞察力や観察力を磨き、重要な事柄に遭遇したときにそれをきちんと理解できる賢明さを持ち合わせるようにしなければなりません。

幸運や好機を思いがけなく手にするのは、冒険のようにわくわくする出来事です。何か素晴らしいことが思いがけず起こるのを満を持して待つ。このような心構えでいることが、セレンディピティをつかむいちばんのコツです。