あることをきっかけに人間関係すべてが嫌になり、誰のことも信じられなくなる。これが人間不信の典型的なパターンです。きっかけになる出来事は人それぞれ違いますが、共通するのは過去の人間関係においてひどい目に遭ってしまったこと。
恋愛関係にしろ、友人関係にしろ、自分が心から信じていた人に裏切られると、心に深い痛手を負ってしまいます。人間不信に陥ると臆病になってしまい、二度とこのような辛い思いをしたくないと、人間関係全般を避けて通るようになります。
人間不信にもレベルがあり、対人恐怖症の域に達している人もいれば、周りの人の言葉を素直に受け取れない、人付き合いを億劫に感じる程度の方までさまざま。なんとなく人付き合いが苦手という程度であれば、日常生活にあまり支障はありませんが、しかし誰の言葉も信じられないという段階まで来てしまうと、日常生活にも支障を来してしまいます。
これって人間不信?と思ったら、早めにセルフチェックにより診断を行い、原因を突き止め、人間不信の症状の改善に努めることが大切です。人間不信を克服しようと決意したら、まずどうして人を信じることが出来なくなったのか、そこから考えなければなりません。
人間不信の原因とは?
人間不信の根底にあるのは、自分以外の人間に対する不信感。心から信じていた人に裏切られた、親友だと思っていた人に陰口を言われていたのをあとで知った、家族や配偶者から信用されていない、恋愛関係でつまずいてしまった、など、すべての人間関係の根底にある信頼関係が揺らいだときに、心の中に猜疑心が浮び上がります。人間不信に陥ってしまう原因について一つ一つ詳しく見てみましょう。
家族・親友・恋人・親しい友達に裏切られた
自分では親友だと思っていた人が、実は陰では自分を馬鹿にしていた。信用して話してしまった内容を周囲の人に言いふらされてしまった。
友達やクラスメートから陰湿ないじめを受けたことがある。恋愛相手から騙された。このように信用できると思っていた人からひどい仕打ちを受けると、これからは誰も信用できないという境地に達してしまいます。
人から騙されたことがある
お金関係にしろ、恋愛関係にしろ、人から騙されたことがある人もまた、人間不信に陥りやすくなります。自分では判断能力があるほうだと思っていたのに、ものの見事に騙されてしまった。
どうしてこんなに簡単に騙されてしまったのかと、自分の愚かさや判断能力の欠如を責めてしまう人もいるでしょう。騙されてしまった自分のほうが悪いと、自分への嫌悪感を募らせ、挙句の果てに人間不信に陥ってしまいます。
周囲の人から無視される・相手にされない
自分には落ち度がないにも関わらず、周囲の人から無視されることが多い、あるいは自分の意見を話しても相手にされない、といった体験もまた人間不信の原因の一つになります。
自分という存在を軽視されるのは誰にとっても辛いもの。自らの存在意義を見失うことにより、自分なんか取るに足りない存在と思い込んでしまうと同時に、周囲の人とコミュニケーションを取ることに不安を感じるようになります。
人の真意が計れない
相手の本心が読めず、疑心暗鬼になってしまうことから生じる人間不信のパターンで、相手の本心が読めず、常に疑心暗鬼に駆られてしまいます。
相手の言葉を真に受けることが出来ない、行動に裏があるのではと疑ってしまう、何か下心があるに違いないと警戒してしまう。これらに思い当たる方は、このパターンかもしれません。
また自分自身が潔癖で、表裏のない性格の人は、心にもないことを言ったり、したりする人を心から信じることが出来ません。このような方はああ言えばこう言う、口先がうまく、要領のいいタイプの人に対して不信感を抱くことがありまする
人間不信の症状とは?
人間不信に陥った人には共通の行動パターンがあります。便利なもので溢れかえる現代社会、インターネットやスマホなどの急速な普及に伴ない、コミュニケーションの手段は格段に進化しましたが、人と人との関係はかえって希薄になっているようです。
ソーシャルネットワーキングなどにより、人とつながっているという意識は持ちやすくなったものの、人間関係自体が築きやすくなったわけではありません。現代社会における人間不信の症状について詳しく見ていきましょう。
人の言葉が信じられない
周囲の人に誉められても、その言葉が信じられない、嘘を言っているに違いないと考えてしまう。陰で悪口を言われているのでは?と不安になってしまう。これは人間不信の典型的な症状です。以前に人の言葉を真に受けてしまい、手ひどい痛手を味わったことがあるだけに、人の話を鵜呑みにすることに大きな抵抗を感じます。
人の話しを信じてしまったばかりに辛い思いをした方は、自己防御の手段として、人の言葉を疑ってかかるという態度を身に付けてしまいます。信じていた人から裏切られたことから、自分の判断能力にもはや自信が持てず、誰も信じられないという状態に至っています。
人付き合いが悪くなる
人間関係全般が億劫で、人付き合いを避ける傾向が見られたら、人間不信に陥っている可能性があります。人付き合いを嫌悪する背景には、自分がどんなに努力しても、相手に受け入れられないかもしれない、という不安感があります。人と親しく付き合うことにより、ありのままの自分を見せてしまい、それを相手に否定されたら嫌だ、という気持ちもあるようです。また反対に、相手の嫌なところが目についてしまい、それが原因でさらに自分が傷ついてしまうのを恐れる気持ちもあります。
自分の感情を外に出せない
人間不信に陥ると、人の感情に意味を見出せなくなってしまいます。喜怒哀楽といった感情を一歩下がった場所から冷めた視点で眺めますので、周囲の人からは冷たい人と思われることが多いでしょう。
自分の感情に対しても、周囲の人の感情に対しても、どこまで真剣に受け止めていいか判断できず、結局自分の感情は一切表さず、第三者の感情に対しても一切反応しない、という最悪のリアクションをしてしまいます。
相手の反応を試したくなる
過去の人間関係において大きな痛手を背負っていることから、新たな人間関係を築くことに臆病になり、相手から拒否されることを極度に恐れています。自分の存在を相手がどこまで受け入れてくれるか、そのボーダーラインを知りたいがために、相手を試すようなことを繰り返してしまいます。
自分の我がままや希望に対して、相手がちょっとでも拒否するような素振りを見せると、やっぱり人は信じられないとばかりに、再び自分の殻に閉じこもってしまいます。
人間不信を克服するには?
人間不信に陥ってしまうと、周囲の人との人間関係が築きにくくなります。職場の同僚や友人、そして家族との関係も気まずくなるばかりでなく、症状がひどくなると、人と会話をすることさえ困難になってきます。人間不信の初期症状に心当たりがある方は、できるだけ早目に改善に努めるようにしましょう。
少しずつ改善していくようにする
誰しもいきなり人間不信に陥ったわけではありません。生まれつき懐疑的という人もいるかもしれませんが、ほとんどの人は何かしらの事件があり、これまで信じていたことが根底から覆ったために、人が信じられなくなったという過去を持ちます。
いろいろな経験や辛い思いが重なって、人間不信という状態に陥ったのですから、これを一日で解消するのは無理があります。人間不信を克服するには、十分な時間と毎日の積み重ねが必要。焦らず少しずつ症状を改善していくようにしましょう。
人を信じることを覚える
信じていた人から裏切られたという経験を持つ方は、再びこのようなひどい目に遭うくらいならと、誰も信じず、誰とも関わりを持ちたくないと考えます。しかし長い人生において、自分以外の人間を誰一人信じることなく生きていくことは不可能です。
ある一人の人から騙されたからといって、周囲の人全員が悪いわけではありません。過去にあった嫌な出来事を良い教訓として受け止め、少しずつでも周囲の人と打ち解け、信じることを覚えましょう。
少数の信用できる友達を持つようにする
どんなに性格が良く、有能で、人気のある人でも、周囲の人全員から受け入れられることはありません。すべての人から好かれたい、受け入れられたい、というのは所詮無理な望み。不特定多数の大勢の知り合いを持つよりも、心から信用できる少数の友達を持つほうが、精神的に安定しやすいといえるでしょう。
自分のありのままの本質を受け入れてくれる人は必ず現れます。焦らずにゆっくりと自分を信じてくれる人が現れるのを待ちましょう。また恋愛関係だけでなく、共通の趣味などを通して気の合う友達を増やすようにすると、孤独感が癒されます。
自分から打ち解けることも必要
相手が信用に値する人物かどうか見極めることも大切ですが、自分自身についても同様に思いを巡らせることも必要です。
自分はいい加減なことばかりしていながら、周囲に対しては厳しい注文を出す人に対して、好印象を持つ人はいないはず。信頼に値する人に側にいてもらいたかったら、自分のほうからまず相手に信頼されるように、責任を持った言動を心がけましょう。
周囲の人に対して過剰な期待をしない
人間不信になる理由の一つに、人に対して過剰な期待をすることがあります。自分ならこんなことはしない、これくらいはして当然、というように、人に対して過剰な期待を寄せていると、期待を裏切られたときに痛い思いをしてしまいます。自分は自分、人は人というように、ある程度割り切って考えることが必要です。
たとえ家族であっても、自分の期待や意向に完全に従ってくれるとは限りません。家族ですら、自分の期待に応じてくれないのであれば、友人や知り合いに対して、それを要求するのは所詮無理な話。過度な期待は自分を苦しめるだけですので、周囲の人に対して過剰な期待や要求をすることは控えましょう。
表裏のない人間など存在しないことを知る
人間である以上、程度に差こそあれ、二面性を備えているのが当たり前です。自分と他の人に対する態度が違うからといって、その人が誠実でないとは言い切れません。表裏がある、というとあまり良い印象は受けませんが、社会人であれば当然対応する相手によって、多少なりとも自分の態度や言葉遣いを変えるものです。
意図的にしろ、無意識にしろ、嘘をついたことのない人など存在しません。気になる人が相手によって多少態度を変えるからといって、いちいち落ち込んでいても仕方ありません。自分に対して意図的に嘘を言ったり、あからさまに失礼な態度を取るのでない限り、これを理由に相手をむやみに疑うのはやめましょう。
相手を許す余裕を持つようにする
自分に対しても、人に対しても優しい気持ちで接するようにしましょう。どんなに気を配って努力していても、相手の傷つくことを言ったり、したりすることはあるものです。
相手が発した何気ない言葉や振る舞いに傷つくことがあっても、そのことを考えて、いつまでもくよくよするのはやめましょう。たいていの人は自分の言動によって、相手が傷つくということに思い当たりません。相手の不注意な言動に神経を尖らせるのはやめ、相手の軽率さを許す心のゆとりを持ちましょう。
相手を故意に傷つけようとする陰湿な人もいる
故意に相手を傷つけようとする人もいますが、そのような人のネガティブな態度に引き摺られて、自分まで憂鬱な気分になるのは損です。世の中には自分の言動で周囲の人が傷つくのを見て愉快な思いをする陰湿な人もいます。
しかしこのようなタイプの人は全体の一部に過ぎません。一部の人を信用できないからといって、すべての人を拒否していては、辛くなるのは自分だけ。過去に嫌な思いをしたのは、運が悪かったせいと前向きに考えるくせをつけましょう。
まとめ
てっきり親友だと思っていたのに、実は陰で自分の悪口ばかり言っていた、お金のことで彼氏と揉めた、外面のいい友人は、実は性格が悪く、周囲の人を陥れることばかりしている。このような出来事に遭遇すると、人間全般に対する信頼を喪失してしまいます。
人間不信に陥ると周囲の人との関係をうまく築けなくなってしまいます。一人でいることが多くなると、さらに友達の数も減り、気がつくと周囲から完全に孤立していたということもあるでしょう。
人間不信の症状を自覚したら、出来るだけ早めに症状の改善に努めましょう。そのまま何もしないでいると、人間不信の症状はひどくなるばかりです。人間不信を克服し、周囲の人と良い人間関係をキープできるように頑張りましょう。