褒め方でこんなに相手の印象が変わる?「褒め上手」とは?

褒め方でこんなに相手の印象が変わる?「褒め上手」とは? 人生

最近はやっと叱る事に対してのデメリットが表れてきたのと同時に褒める事へのメリットが注目されていて、子どもから大人にいたるまで叱るのは控えめにして褒めて伸ばすという風潮が強くなってきました。

褒める事の効果はたくさんありますが、日本人の性格からすると褒める事にあまり慣れてなくぎこちなくなり、相手も自分は褒められているのかそれとも嫌味を言われているのかと、判断がつかない双方にとって残念なパターンも見受けられます。そこで相手が素直に嬉しくなってくれるような褒め上手になるためのポイントをご紹介します。

日本人のDNA 「叱られて育てる育つ」

日本人のDNA

戦前の海軍司令官として有名な山本五十六の言葉に「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」と言うのがあるのをご存知ですか?こんな言葉が格言として残っていると言う事は、昔からある教育論はこれとは正反対のものだったのではないか、と思い至ります。

確かにこれまでを思い返してみれば、親・教師・先輩・上司と上の立場の人から叱られた経験はあっても、褒められた事なんて片手・両手に少し余るくらいしかなかった、なんて方がとても多いのでは。

日本人は昔から叱られた悔しさをばねにして奮起して結果を出す、と言うのがほとんどで、褒める事に対してはだらけて仕事や勉強をしない・自信過剰になるなどとマイナスイメージを持っていた感があります。

まずは「ありがとう」から

一番簡単な褒め言葉がこの「ありがとう」です。褒め言葉とはちょっと違うかもしれませんが、褒め言葉を言いなれていない方が使う言葉としては最適な言葉だと言えます。それは「ありがとう」という言葉は、相手だけでなく自分にもプラス効果を与えるからなんです。

店で買い物をした・エレベーターのボタンを押してもらった・落とした私物を拾ってくれた等々、いつも「すみません」と言っているシーンではぜひ「ありがとう」と言ってみましょう。ある実験ではこの言葉を毎日言うだけで、発した側の幸福感がアップする事が分かっています。

また、ありがとうと言うのは自分の気持ちを外に出す一番手軽な方法なので、言い慣れれば次第に他の褒め言葉も口をついて出てくるようになります。

外見は相手のセンスを肯定する言葉で褒める

外見は相手のセンスを肯定する言葉で褒める

相手の一番褒めやすい部分は、やはり外見ですよね。しかし簡単な分難しいポイントでもあるのです。例えば「今日の服素敵ですね」「今日も髪型決まってますね」と言った場合、本人は褒めているつもりでも言われた相手は社交辞令と受け取る可能性もあるのです。

褒めるつもりならばネクタイやネイル・持っている小物など、もっとその人のこだわりや好みが出やすい部分をピンポイントで褒めた方が、相手も嬉しくなります。ただこだわりがある分、自分がみればイマイチと思う場合もあるでしょう。

そんな時は無理に褒めずに、「今の流行りなんですか」「始めてみました。面白いですね」とそのセンスを肯定する言葉で気持ちを伝えてみては。

相手の物事に対する姿勢や努力を褒める

相手の物事に対する姿勢や努力を褒める

スタンフォード大の心理学研究によれば、問題を解いた子どもに「頭が良い」と褒めるのと、「努力がすごい」と褒めるのでは、後者の方がその後に出された更に難しい問題もやる気を持って取り組んだと言う結果がでました。

結果如何にかかわらず、その問題に取り組む姿勢や解決するための努力を褒めると、次も同等またはそれ以上の努力をし、姿勢を維持しようとするのだとか。これは子どもに対する研究ですが、大人に対しても同じ事が言えますよね。

また大人の場合、スキルを身につけている人に対しては、それも合わせて大いに褒めるべきでしょう。スキルがなくても努力しようと思うようになり、あれば更にそれを生かそうとやる気を出すようになるので、自分だけでなく周りにも良い影響を与えます。

遠まわしに褒める

遠まわしに褒める

あからさまに褒めるのが恥ずかしいと言う人は、遠まわしに褒めてみましょう。例えば「(あなたがこの仕事をしてくれたから)私のピンチが回避できた。」と直接本人は褒めていないけれども、自分がピンチを回避できたのはあなたのお陰と遠まわしに褒め感謝しています。

また、主語を必要としなくても文章が成立する日本語の特性を生かして「仕事が出来る人がいると、効率がアップするね」「明るく楽しい人がいると、周りも楽しくなるね」と誰とは直接言わなくても、分かるような褒め方もあります。

ただ、この場合は相手が自分の事を褒めているのだと分かるようにする事が大事です。気軽に言いやすい分、相手に分かってもらうシチュエーションを作る必要があるかもしれません。

趣味嗜好を褒めてみる

趣味嗜好を褒めてみる

こうして相手の褒める部分をじっくり考えてみると結構ありますが、その1つに趣味嗜好があります。趣味のイメージとして思いつく読書や映画といった大まかなものから、誰も理解してくれないだろうと本人自身が悟ってしまっているようなニッチな趣味まで十人十色です。

また大まかな読書や映画でも人の好みによってニッチな嗜好だな、と思う場合がありますね。そういった趣味を持っている人は周りは理解してくれなくても十分と思っていますが、やはり仲間が少なく本流から外れていると考えると孤立を感じる時もあります。

そんな時に自分の趣味を褒めてくれたり、またはあなたの影響で私も始めてみたと言われれば、自分が誰かに影響を与えた・自分の気持ちを共感してくれた、と嬉しくなるものです。ニッチな趣味といえば、カルトっぽく思われますが、ただ多くの人が知る機会を持たなかっただけで実は面白い、というものも少なくありません。趣味の話になったら「私もやってみようかな」と言うだけで、褒め言葉になるのです。

ボディタッチも気持ちを伝えるには有効

ボディタッチも気持ちを伝えるには有効

子どもを褒める時は、言葉と一緒に抱きしめたり頭をなでるなどボディタッチをすると、褒められた喜びを多く感じるようになるのだとか。皮膚は元々脳や神経の一部と同じ類で外気に触れている部分なので、皮膚が感知した事は精神面にも影響を与えるのです。ですから言葉と肌で褒められた事を理解し、喜びも大きくなるわけです。

ただ、この方法が使えるのは限定した人物に限られます。また好意を持っている人物に対しては、さりげなさを装って褒めたポイントに手をほんの少し触れるくらいに抑えましょう。

例えばネイルがきれいだからと言って、ぎゅっと手を握れば相手はびっくりしてしまいますよね。爪の先にかすかに触れるくらい、ヘアスタイルならば髪の毛を掠めるくらいがちょうど良いのです。

褒め言葉のボキャブラリーを増やす

褒め言葉のボキャブラリーを増やす

褒め言葉もずっと言っているうちにワンパターンになってきませんか。可愛い・きれい・すてき・格好いい・真面目等々思いつく褒め言葉はありますが、20も30も出てこないですよね。

反対に人をけなし貶める言葉が沢山出てくる人は、日常的にその言葉を多く使っていると言う事ですから、言葉遣いには十分注意しましょう。言っている事がずっと同じでは、言われた方は最初は嬉しくても、次第にこの人は本当は社交辞令を言っているのではないか・心がこもっていないのではないか、と褒めた人の言葉を信用しなくなります。

それを避けるには褒め言葉のボキャブラリーを増やすのが一番ですが、それには読書がベストです。普通の小説でも構わないのですが、どうせならば綺麗な言葉を増やすために名作文学を読んだり、褒める言葉が沢山載っている育児書などは応用が利いてお勧めです。

自分が言われて嬉しくなるような言葉をかけてみる

自分が言われて嬉しくなるような言葉をかけてみる

心理学には相互性というものがあり、人間関係で一方が相手にする行為は、相手も自分にしやすくなると言う原則です。

褒めるのは相手にも自分にも良いと分かっていても褒め言葉が出てこない、なんていう人は自分が言われたら嬉しい言葉を相手に言ってみては。自分が言われて嬉しい言葉でも相手にとっては嫌な言葉は本当にごく僅かで、大抵の人が嬉しいと思う言葉はだいたい共通しています。

外見は人によっては自分のセンスと異なり褒めても相手は納得しない場合があるので、まずは自分と似た内面があるかどうかを探して見ましょう。そうやって相手を観察している間に、相手の長所が見えてくる事もあります。

まとめ

褒めるには、まず相手をじっくり観察する必要がありそうですね。じっくり見れば、今まで知らなかった相手の長所や素敵な部分が見えてくるでしょう。ぜひ見つけて褒めて、二人とも楽しい気分になりましょう。