ナルシストと聞くと、「自分の事が大好きな人」というイメージがありますが、自分の外見を自慢するのを恥ずかしいとする気持ちを持っている日本人から見れば、非常に違和感がありあまり近寄りたくないタイプと言えます。しかしナルシストとまで行かなくても、人は誰しも自分の事を程度の差はあれども好きだったり自信を持っているのが当たり前で、それは自己の確立や精神的成長には欠かせないものです。

しかし、反対に自分を全く持っていない人もいて、それは自己愛型人間と呼ばれ、その程度が酷くなれば自己愛性人格障害やディスチミア親和型うつ病などの精神的な病気へとつながる可能性があります。自己愛タイプの人は自分の欲求を満たすために周囲の人間を巻き込み続け、身近にいる人を傷つけるのを厭わないので、事件へと発展する最悪のケースすら見受けられるのが恐ろしい所。

今ではさまざまなハラスメントが社会問題となっていますが、言葉や態度で相手の価値を貶めるモラルハラスメントを行なう側にはこの自己愛性人格障害を持つ人が多いと言われています。そんな一般人には理解できない思考をもつ自己愛性人間ですが、モラハラに会わないためには彼らを知る必要があります。そこで彼らについての特徴と考察をご紹介します。

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自己愛って自分勝手な人間とは違うの?

自己愛って自分勝手な人間とは違うの?

自己愛と自己中心は自分の欲求を満たすために行動するのが共通点ですが、大きな違いがあります。自己中心タイプの行動は自分が好きなようにやっているため、周りから批判されようとも気にする事はありません。

しかし自己愛は自分の中に確固たる自己の判断基準が無く、それを「自分は人よりも優れている・万能である」という思い込みでカバーしているので、常に相手の反応を伺いそれによって行動が決定されるのが、自己中心と異なる点といえます。

自己愛と普通の人間の違いは乳幼児期から

自己愛と普通の人間の違いは乳幼児期から

自己愛タイプとなる原因は、乳幼児時代の親や周囲からの愛情不足や過保護・過干渉・無関心といったものが主だと言われています。そもそも人間は、生まれてから3歳くらいまでは親や周囲の大人の無条件の愛情を受けて自立し始める準備をする時期で、その手始めとして周囲の人の真似をして日常の基本的な動作から善悪の判断まで様々な経験を積んでいきます。

この段階での間違いや失敗はつきものですが、それでも愛情を注いでくれる相手がいる事が大きな安心感になり、ひいては自分の大きな自信となって、失敗を恐れずに挑戦し続け精神的に成長していきます。「三つ子の魂百まで」ということわざどおり、この年齢にどのような愛情を受けてきたかで、その人の一生を左右するといっても過言ではありません。

自己愛が生まれる原因は

自己愛が生まれる原因

しかしこの乳幼児時代から思春期にかけて、あらゆる場面で親の価値を押し付けられて自分の行動を抑制されたり、間違いや失敗を非常に強く叱責されれば、子どもは親からの愛情を感じられなくなります。そして、その愛情を得るために親の望むように行動し、人が望むとおりに行動しなければ必要とされず、自分で考えた行動は無価値であると考えるようになります。

そのまま成長していくと、人に嫌われないよう行動するため一見とても魅力的な人に見えますが、精神的成長は初期の段階で止まってしまいそれ以上成熟する事はないので、その内面は空っぽで自己決定・自己判断の出来ない人間になります。

外見と精神のアンバランスさ

外見と精神のアンバランスさ

自己愛型の人間は乳幼児期の人真似から理解していかなければならない、自分と他人の区別が出来ないまま成長してしまったため、人の自分に対する評価をそのまま自分だとイコールで考えます。人が自分の事を優れて素晴らしい人間だと思えばそれがそのまま自分となるため、「自分は人よりも優れている・万能である」と暗示をかけてしまうほど思い込むようになり、自分が無い事への劣等感が強ければ強いほど、その気持ちも強くなります。

しかし自分の言動を価値が無いものとして考える彼らは、得てして責任回避行動が多くあらゆる事に対して無気力になりがちです。自分では優秀で素晴らしい人間であると思い込んでいるため、初対面ではとても行動力があり話題豊富で魅力的な人に見えますが、次第に知るようになると外見の魅力と時折見える精神の未熟さのアンバランスが目に付くようになります。

自己愛の特徴的行動は

自己愛の特徴的行動

特徴的な行動といえば、まず自分に肯定的意見を持つ複数人をいつも従えて行動します。自己愛型は相手の中に自分の評価を見つけるので、その相手がいなければ空っぽの自分を見つめる事になってしまい、それが耐えられずに自分を賞賛し良い評価を持ってくれる人を側につけて心の安定を図るのです。

その他に、自分が非常に優れていると考えるがゆえに、自分よりも下と考える相手に対しては全く興味を持たず、他人の話を聞かない・話をさえぎる・自分の話へ強引に持っていく等、自分に周囲の意識を向けるよう努力し、それが出来なかった場合は明らかに不機嫌になります。

それから自分の優越感を確立させ感謝させるため、または自分の言う事を聞かせるために、困っている人や弱者を助けたり世話を焼こうとします。大変そうだからという優しさで助けるのではなく見返りや評価を得るためだけに手助けするので、人が見ていなかったり助けた相手が自分の思うような感謝をしなかった場合は、態度をガラッと変えるなんて事も当たり前です。

自己愛の特徴的性格は

自己愛の特徴的性格は

近親者によって自分の精神的成長を抑圧されてしまった自己愛型は、自分の劣等感を覆すための性格と優越感や万能感によって引き起こされる性格が混じり合っています。自分を無価値だと考えるため、何か他人に自慢できるようなものを求め賞賛やほめられる事に敏感になるため、他人を自分より上か下かで考えるようになります。

上と認めた人物の賞賛を受ける事に必死になり媚を売り、自他の区別が付かないため上と認めた人物の真似をし、同等になったかのように自慢しますが、その反対に「自分は他の人から慕われる素晴らしい人間である」とも思っているため、自分よりも下と考える大多数のアドバイスや忠告は無視し、その行動に対する怒りを表す場合も多いです。

褒められれば自己が満たされ、たしなめられれば自分の全てを否定されたと考えるので、その感情の表れは非常に苛烈なものになるのが大きな特徴です。

自己愛は伝染する

自己愛は伝染する

自己愛にいたる経過の主な原因は乳幼児期にありますが、「自分の言動を抑圧されて、身近にいる人の望むとおりに振舞わなければ、自分を否定され肉体的・精神的に傷つけられてしまう」という状況は、その時期に限った事ではありません。年代に関係なくそのような状況に陥り長期にわたってその状態が続けば、自己愛ひいては人格障害を引き起こす可能性があります。

特に自己愛をすでに持っている人間が自分よりも優れた相手を見つけた場合は、相手の言動全てを否定し自分がいなければ役立たずだと自分の優越性を見せつけ、周囲にその人物の評価を落とすような話を捏造してまでも吹聴し孤立させ自信を失わせ言いなりにさせる等、まさに自分がされてきた事と同様の行動を取ります。その結果モラルハラスメントの被害にあった人は、自己愛型になってしまうのです。

モラハラに会わない唯一の解決法

モラハラに会わない唯一の解決法

モラルハラスメントに会わないためには、自己愛型人間と速やかに距離を置いて接触しない事に尽きます。それは、監視下に置きやすくコントロールしやすい職場内の人物や家族・恋人・友人などを、彼らは対象者にする傾向が高いからです。

解決方法としてよく話し合う事が挙げられますが、自分の無さや弱さを認められずに全身を取り繕っている人に、自分の何がいけないのかを分からせるのは不可能と考えてよいでしょう。相手が病気になるまで攻撃し続けるので、近づかないのが一番です。

まとめ

彼らの言動の裏には、自分が全ての人の注目や愛情を集めるべきだという乳幼児期に得られなかったものを求める気持ちがあります。

精神的成長が乳幼児の段階で止まったまま、身体だけが大きくなったと考えると納得が付きますが、狡猾さや無駄なプライドの高さ・悪知恵が働く頭脳など大人の嫌な部分も付随してくるので、とても面倒くさい存在です。自分に伝染してしまう前にさっさと離れましょう。

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